過去があるから今がある

2007年09月12日

人間の記憶って不思議なもんだ。
忘却こそが人間の最大の長所だと言われることがよくあるが、
決して記憶って完全に頭の中から消滅するわけじゃないものだとつくづく思う。
ある小説の中に書かれていた。
「人間の体のどこかにありとあらゆる記憶を沈めておく巨大な湖のような場所があって、
その底には無数の過去が沈殿している。何かを思い立ち、始めようとするとき、
とうの昔に忘れ去った記憶が湖底からゆらゆらと浮遊してくる・・・云々」と。

しばらくぶりに実家に帰省している。
正月以来だから、8ヶ月ぶり。(そんなに久々じゃないか・・・)
ちょっと遅い夏休みをいただいたので、一週間ほど地元でゆっくり過ごそうと思っている。

自分には兄弟がいない。
両親に大切に育てられた一人っ子。
今でも実家に帰ると、自分の部屋がきちんと残っている。
兄弟がいる友人に話しをするといつも羨ましがられるのだが、自分にとっては普通のことである。
実家を出て行った時点で、だいたい物置になるのが一般的らしい。

何も変わってない僕の部屋には、数百枚のCDがある。
生まれて初めて買ったKANさんの「野球選手が夢だった」というアルバムから、
中学時代に大好きだったリンドバーグのアルバム、
大学時代に買ったモーニング娘の「Loveマシーン」などの
J-POPのCDたちが今でも棚にきちんと整列している。

実家に帰ってきたのはいいが、予想通り暇を持て余す生活になってしまったので、
そこで久しぶりにそのCDたちを聞いてみることにしたのだ。

実に懐かしい気分になる。
CD一枚・一枚に過去のひとときが記録されているかのように、
そのCDを聞いていた時間にタイムスリップできる。

特に、憂鬱で悩んでいた頃によく耳にしていたCDにめぐり合うと、
その時代の一つの場面が鮮明によみがえってくる。
風景・温度・雰囲気がもろに頭に映し出される。

松任谷由実「Hello, my friend」
~高校時代、片想いのあの娘に想いを告げられずにせつなさを
抱きながら真夏の夕暮れを自転車に乗って学校から帰宅していたこと。

スガシカオ「Clover」
~受験に失敗し浪人していたあの頃、深夜CDをかけながら机に向かっていたこと。

ハナレグミ「日々のあわ」
~フリーターとして将来に不安を抱きながら、i-Podを耳にしバイト先に向かっていたこと。

LOST IN TIME「きのうのこと」
~大好きだった彼女に振られて、音楽を垂れ流しながらふて腐れ寝込んでいたこと。

今ではほとんど聴かなくなったCDたちは、それぞれ過去の自分の想いが込められたまま眠っていた。
日々仕事に追われ生活しているときにはまったく頭を過ぎらない記憶が音によって、すぅーと湖の底から浮遊してくる。

やっぱり音楽って最高。
多くの人が音楽好きな理由はそこにあるんじゃないかと思う。

自分はまだまだ若いとは思う。
それでも数十年生きてきて、それなりの経験を踏んできて今がある。
音楽を聴いて過去を思い出し、あの日あの時の自分に思いを馳せながら
センチメンタルで何とも感慨深い一日だった。

人間の最大の長所は、忘却した記憶もふとした切欠で思い出せることだと思う。
そしてもうひとつ思った。音楽は最高だってこと。


post by gotokuji

00:33

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